見棄てられた者たちの地 中編

例えば人にはそれぞれ価値観があり、その中で自分自身の善悪を決めている。

 

その結果、自分が理解出来ない概念などを蔑み、それを他人に発して煽りをいれるという者も数多い。

 

私はこうした人間たちを人間力が乏しい器の小さい存在と感じており、逆にそういった存在を蔑みの対象としている。

 

と・・・それはさておいて、前回の続きを書いてみます。

 

最初はどこの世界でも・・・

その世界は参加自由であり、云わば『来る者拒まず・去る者追わず』の場所である。

 

よって所謂、新人を厚く保護して教え込むというユーザーは殆どいない。

 

なので、自分から能動的に行動していくことが、結果を出す為には必要であった。

 

しかし、私はリアルのこともあって、自分以外の他人と関わるのはどうも嫌気が指していた。

 

それはリアル関係がないネット上だけの世界でも同じことであった。

 

なので一人ででも出来ることを探すことから取り掛かった。

 

お情け程度ではあるが、そのサイトには初心者への必要最低限のマニュアルがあった。

 

加えてそのサーバーコンテンツが流行っていた2010年から2012年頃あたり、ユーザーが個人ブログなどで発信していた古い情報など見つけては、調べる等して理解を深めていった。

 

サーバー内の何気ない意思の疎通ややり取りは、どこか空虚な感じもしたし、新参者には冷たい雰囲気を感じもした。

 

まあ、当然である。

 

こんなことはこうしたコミュニティだけではなく、一般社会でも同じことだ。

 

簡単な話、物事をしっかりと続くかも分からない人間かどうかは、相手側も知る由もないからだ。

 

丁寧に分かりやすく教え込んで、一人前にしてあげるというのが仕事や明らかに自分の価値になるという打算がない限り、喜んでそういった役をやる人間は非常に少ない。

 

でも、実は私にはその位が丁度、良かったし、逆にやる気がわいてくる。

 

どこかマゾなのかも知れないが、こういう時は決まってこんなことを思う。

 

無視できない存在になったら、おまえらはどう思うだろうな?

 

とね(笑)

 

とは言っても、この世界の住人は多い時で一時期は200名くらいのユーザーがいた世界であるが、私がいたころは多くて20人、普段は数人という中で動いている超過疎の世界。

 

それでも常にログインしているユーザーは、そんな過疎な世界であっても全てを知り尽くして、その世界の中での物事において出来ないことはないというくらいの者だった。

 

幸いなことに、そのコミュニティでは別に自分が能動的に自分のやったことを示すことをしなくても、ある特定の物事に関する積み上がりが、誰でも閲覧できるスペースに自動的に表示されるようになっていた。

 

つまり遅かれ早かれ自分の積み上げた特定のステータスの様なものが、全く意志の疎通もしたことがないユーザーにも知られるという事になる。

 

ある程度、この世界での常識などを誰からも何のアドバイスも直接的に受けずに、仕組みを理解してから特定の物事に取り組む。

 

すると、今まで見向きもしてくれなかったユーザーなどが、私と何らかの形で接触を持って来ることが多くなった。

 

正直、無視できない存在になったからといって、私は自分自身、自由にしていたかったから、あまり仲良くならないようにしていた。

 

リアルでもヴァーチャルでもどんな物事や世界でもいえるが、『運』というものは人が持って来るものであると強く思っているし間違いがないと思っている。

 

しかし、多くの人間の思考はネガティブで後ろ向きである。

 

人間の思考というものが、現状に具現化されることが多いのは言うまでもない。

 

なので、大抵は外部の人間が持って来るものは、短期的では『幸運』であったにせよ、いずれは『不運』となることが多いというのが私の思っていること。

 

だから、私は孤独やたった一人というものに拘っていたりする。

 

しかし、あくまでこの世界で不運に満ちた状態になったとしても、現実では特に困ったことも起きないし、失うものというのはその世界を生きる為に費やした時間と気力だけの話。

 

一人で黙々とその世界の物事に打ち込んだが、徐々に私は他のユーザーともチャットをしたり、無形のリソースなどを交換しあったりするようになった。

 

また押し掛けてきたユーザーの一人のすすめもあって、自分自身がコミュニティのマスターになったこともあった。

 

そんな感じで孤独どころか仲間というものが出来てしまった私なのだが・・・。

 

そこにあるのはもはや執念

一人で淡々とサーバー内のコンテンツの一つを遊んでいて、数字を上げていく私に交流を持ちかけてきたユーザーの一人。

 

仮にこのユーザーをESということにする。

 

ESはリアルは私の二つ年下であり、職業は役職のあるサラリーマンであったようだ。

 

その世界の住人となって、もう7年以上になるということであり、ありとあらゆる仕様やノウハウなどを熟知していた。

 

当然、彼と私ではその世界の中においての積み上げた数字やリソースは格段に違うものがある。

 

しかし、『あなたはもっともっと伸びますよ。』と言われて悪い気分はしなかったし、私ももっともっと様々な知らないことを吸収したかったために、その人に相談したりすることも増えた。

 

実は意識しているユーザーというのは他にいたんだけど、その人は私が離れる前にあるトラブルが原因で世界からいなくなってしまったのだ。

 

とにかく自分の仲間との付き合いと並行して、ESとサーバー内で供に行動したりすることも多くなっていった。

 

ちなみにESにはある思惑があった。

 

実はそのサーバーというのは、別のあるコミュニティのユーザーたちによって、事実上、支配されている部分があった。

 

ESは一時期、そのコミュニティのユーザーたちによって、傷つけられることが多々あったようである。

 

簡単に言えばイジメられていたといってもいいだろう。

 

しかし負けず嫌いの彼はそれでも尚、ずっとそのサーバーから離れることなく、余裕のある時間をサーバー内の活動に費やして、その世界においての有名人となっていったのだ。

 

ESから教わったことは数多いが、実は私はこの人間の奥底に眠っているものを見抜いていた。

 

彼から色々なことを教わり、サーバー内で使えるリソースなども貰っていた私が彼の為に出来ることといえば、彼の話を聞いてあげることだったり、彼のしたいと思うことで自分が出来ることをやってあげることくらい。

 

その過程の中で、『この男は次は自分と思っているに違いない・・・。』と感じていたのだった。

 

次は自分・・・

 

前述したようにこの世界はある特定のユーザーに支配されていると書いた。

 

自分たち以外の他のユーザーたちに理不尽な要求や行いをして、事実上、支配勢力になっている者。

 

その中で特に際立っていたのは仮にLAと名付けるが、その男だった。

 

実はこのLAという男そのものは、割といいヤツであるが、自分の形を崩さなかったので、非常に悪評が目立っていた。

 

私も最初はLAに理不尽なことをされたりしたし、私の仲間も凄まじい言葉を浴びせられたこともあった。

 

ところがLAに関しても私は見抜いていた。

 

見抜いていたからといって籠絡(他人をうまくまるめこんで、自分の思い通りに操ること)してやろうとすることはなかったが、その裏に宿るこの男の思いは強大な『寂しさ』しかないと感じ取っていた。

 

LAとES・・・ほかにも有名というか目立っているユーザーはいたが、私の中で大きな影響があった者はこの二人。

 

ESはいずれはこのLAのようになっていくのだろうな・・・と感じていた。

 

と、いうか必ずそうなっていくだろうし、むしろLA主導の状況よりも悪くなると私は思っていた。

 

人当たりがよく、どんな質問にも分かりやすく答えてくれるESには頼もしさを感じもしたが、それと同時に恐ろしさを感じていたりもした。

 

それだけある特定のコンテンツに関する執拗さが垣間見えていたからだ。

 

それは執念という言葉があうほどに。

 

その世界に腰を下ろしてから数か月間の間に、私も新参者では少々、あり得ない位の早さで大きい存在となった。

 

仲間にも恵まれたこともあったのだが、ESやESが育てたといってもいい他のユーザーから教わった効率の良い歩き方、やり方・・・所謂、ノウハウを一早く吸収できたからであるというのが大きい。

 

しかし、私の中ではどんどんと重荷になっていく。

 

その人間関係・・・本当は自由気ままにやりたかったのに、自分自身が目立っていくことによって、重圧がのしかかってくることになった。


[sp] [ad#co-1] [/sp]

こんな筈ではなかったこと

本来の自分は『自由気ままに、自分が楽しいことだけをしていく』というスタンスがあったはずだ。

 

だが、自分がそこそこ、その世界で名が知れるようになり、他のコミュニティのユーザーたちと共通のコンテンツを行うようになるにつれて、違和感が起き始めた。

 

むしろ多くのユーザーからすれば、けーごが羨ましいと感じる者もいたかも知れない。

 

だが、実は私が望む形では無かった。

 

他人に流されない様に、自分だけの力で・・・・その想いは常にもっている。

 

しかし、実際に自分を慕ってくれる仲間や相談者の存在が出来ると、それが叶わなくなる。

 

確かに欲しいモノ、情報は手に入りやすくはなるし、場合によっては速攻、GET出来る。

 

だが、その代償として自分が自分ではいられなくなるということが多々、出てくるものだ。

 

頭では昔から分かっていることであったが、知らず知らずのうちに周りに影響されて、自分で自分を見失ってしまっていたということだ。

 

誰かのせいにすることは容易いし、実際に何をどう考えても、私は頑張っていたし、それに甘えてくるユーザーに落ち度があると思う。

 

だが、本当に憤りを感じていたのは、自分に対してだ。

 

どこか妥協してしまっていた自分、流されてしまっていた自分。

 

娯楽でやっている物事でさえも、そうしてしまう自分。

 

頭では分かっているのに、違うことをしてしまう自分。

 

そろそろクリアの時なのかも知れない・・・

 

ふと、そんな気持ちになっていた時に、あることが起きる。

 

 

何かが変わった時に感じる虚脱感

ESとは別に頑張っていた私に言葉をくれて、後押しをしてくれた男がいる。

 

この男は仮にTMとするが、正直、私はこの男が好かなかった。

 

そもそも、善意の押し付けというのは、私は非常に面倒くさく感じるタイプ。

 

TMはただ私と仲良くなりたかっただけなのだが、その善意の押し付けと時々発する人を下に見ているかのような発言が嫌だった。

 

だが、向こうから色々とアクションをとってくる以上、相手にせざる得ない状態にもなったりしていた。

 

TMにも教わったことは沢山あるのだが、私のしたいことの一歩先にいた男でもある。

 

嫉妬という感情はなかったし、普通に彼を慕うユーザーもいたが、私からすれば鬱陶しい男であった。

 

実はTMもESに以前に色々と手解きを受けた人間である。

 

なので、一時期はES、TM、私という感じで仲良く意志の疎通をしていたこともあった。

 

分かりやすく戦争に例えるならば、LAという国があり、そこに対抗する為にES、TM、けーごの三派連合という感じかな?

 

しかし、ある時。

 

私の仲間に一人、問題を起こす懸念のあるユーザーがいた。

 

リアル女性であり、夫婦で参加しているのだが、その奥さんの方・・・仮にJJという。

 

JJは頑張り屋さんであるものの、その発言には後ろ向きなところが多く、不平不満・愚痴・泣き言が多い。

 

一応、私を慕ってくれていたので、邪険には出来なかったが、『こいつはいつか揉め事を持って来る・・・。』と思っていた。

 

案の定、揉め事を起こした。

 

よりによって、相手はESだ。

 

ESに屈辱を受けたとして泣きをいれてくるJJであるが、私はESに確認をとってみる。

 

このサーバーコンテンツのことを分かっていないと、うまく説明できないのだが、要するにJJがESが困っていると感じて、ESがやっていることに横槍をいれてしまったということだ。

 

それに対してESがJJに報復処置をとり、受けたJJが傷ついたということであった。

 

JJ『なんだよ、こっちが良かれと思ってやっているのに!

私『JJさん、ESさんが助けが欲しいと感じる男に見えたのか?

JJ『・・・・

私『善意の押し売りほど、強いやつからすればウザいこと無いぞ。

JJ『もういい。

 

結局、この争いは穏便に片が付いたわけで、悪いのはJJであるのだが、この問題の最中に見えてきたESの知らなかった素顔。

 

・・・ESさんがそんなことを言ったり、やったりするなんて・・・・

 

それからすぐの別の日。

 

そのサーバーでは全体チャットというものがあり、誰でも条件を満たしていれば、不特定多数に発言ができるというシステムがあった。

 

サーバーにログインしている者は誰でもそのチャットを閲覧できる。

 

ESが凄い乱暴な言葉で、誰に向けてか分からない言葉を吐きだした。

 

誰がどう読んでも、ESがキレているというのが分かったであろう。

 

その日はサーバーのマスターが定期的に開くイベントの真っ最中。

 

珍しいことにその日は毎日、常時、ログインしているLAはいなかった。

 

私は仲間がログインしていなかったので、自分一人だけで出来る限り、イベントを消化していた。

 

イベント中、ESとかぶることもあったが、お互いに別々に邪魔にならないようにプレイしていた。

 

後になってTMとTMの仲間がやってきた。

 

イベント中であるから、特定のその物事に関しては必然的に競争という具合になってしまう。

 

だが、私はESに気を遣うと同様、TMにも気を使って、なるべく邪魔にならないようにプレイ。

 

結局、イベントは大盛況?のうちに終わった。

 

楽しかった~とチャットをしていたユーザーたちであったが、前述していたようにESが憤りを露わにする。

 

私はESに直接、問いかける。

 

私『なんだ? 何か気に入らない事でもあるのか?

ES『こっちがやろうとして、段取りしていたのに、全部、もってかれたんだよ。

私『でも、それってイベントだから仕方がなくない?

ES『うむ。

 

ESが怒っている先はTMとTMの仲間たちに対して。

 

TMとTMの仲間たちは、ユーザーの数にものを言わせて、イベントをこなしていって、多くの戦利品を取得していた。

 

ESとのチャットを終えて、程なくTMが私とのチャットを求めてきた。

 

TM『ESさん、誰に怒っているの? ひょっとして俺?

私『(分かってるじゃん・・・と思いつつも)TMさんの仲間の〇〇さんにじゃないかな?

TM『でも、こういう場合って、他にどうしろと・・・TT

私『俺もイベントだから仕方がないだろうといったんだけどね・・・。

 

そんなやり取りをしていると、全体チャットでESが・・・

 

ES <おいおい! どこまでもってくんだよ!!!

 

どうやら別のコンテンツで被ったやはりTMさんの仲間の一人に対して、激しい呼びかけを行っていた。

 

私『ああ・・・また何か言ってるよ・・・。

TM『なんか最近、ESさん変だよ・・・人が変わったみたい。

私『俺もそう思っていたんだよね。

 

TMからは、ESに実はちょくちょく嫌がらせに近い行為をうけていることを告白される。

 

私『TMさんにしても、俺にしてもESさんって恩人とも言える人じゃん?

TM『うん。

私『そんな恩人が変わっていくのを見ているのって、激しく萎えるな・・・。

TM『そうだよね・・・なんか一気にテンション下がったよ・・・。

 

ESがTMに対してそうした行為を行っていた理由が、後に判明。

 

TMはLAが独占していたサーバーコンテンツの一部を奪取していたのだが、それはESも以前からずっと欲しがっていたもの。

 

そのサーバーコンテンツを独占していたからこそ、仲間の人数の少ないLAが絶対王者のように君臨できていたといってもいい。

 

TMは仲間たちと一致団結して、それを奪取していた。

 

だが、ESは違った。

 

元々、それに対しての奪取のやり方やそこに繋がるまでの方法などを、TMにレクチャーしたのは自分であると。

 

そんなESに対して、奪取した後には『一緒に使わない?』という気持ちを見せることもなく、我が物顔で掴んだとしてのさばっていたことに腹を立てていたのだった。

 

TMに対して憤りをぶちまけたイベントの日を境に、ESはTMたちと衝突を繰り返す様になる。

 

むしろ一方的にESは昔のやめていた筈の仲間を呼び出しては、徒党を組んでTMたちのコミュニティを攻撃しだしたようだった。

 

しかし、理由はそれだけではない。

 

おそらくESはクリーンでいい人として生きていることに疲れてしまっていたのかも知れない。

 

それと同時に実はES自身が憧れを抱いていたのはLAだったということも薄々、私は気づいていた。

 

何故、私がそう感じ取っていたのかというのは、後日に。

 

To be Continued…