だいぶ前に書いた私と親友のことを気持ちを込めて投稿した『たった一人の親友』。
実はこのブログ【たった一人の魔道】の全記事において、一番のページビューがあったりして、今でも読んで下さってくれる方たちもいる。
そんなわけで親友と距離を置く必要があったころのことなんかを書いてみます。
親友と距離を置くのは何故か?
過去にも当ブログで紹介した伸ちゃん。
彼と距離を置いたと断言できる時期がある。
私のイデオロギー的には『距離を置く』ということは、イコール『縁が切れても仕方がない』ということと同じ。
でも距離を置かなければならない理由というのも、そこには友情があったり、焦燥感などがあったりするからですね。
一緒にいるとお互いを傷つけあってしまったりするから、良い縁も腐っていくわけですよ。
こんな例もあると思う。
仲が良いからこそ、ずっと一緒にいたいと感じて、他のやらなければならないことが出来なくなったりして、生活に支障が出るからとかね。
伸ちゃんと疎遠になっていた時、私の心にスキマが出来た。
不思議とそれを埋めるかの様に、やはり親友と呼べる男と出会ったことがある。
残念ながら、この男はもうこの世にはいない。
この世からいなくなる前に、私から親友と認識した彼と距離を置いたのには理由がある。
あくまで過去の私の理由であって、万人がそうであるとは限らないけど、少し告白してみよう。
まるでスキマを埋めるかの様に出会いが・・・
その男と私は同じ年であり、供に共通のやっていることがありました。
共通の物事の仲間として知り合ったわけですが、活動していくうちに凄くウマが合うようになってね。
仮にこの男のことをデンちゃんと呼ぶ。
デンちゃんはゾクっとするくらいにカッコ良くて、凄く爽やか。
と、いうか髪は短髪であったが、顔の造りは女性のような感じで身長は私よりもちょっと高いくらい。
そして共通の物事に関してのスキルやノウハウはズバ抜けていた男なので、非常に頼りになると会った時から感じていた。
デンちゃんは他の仲間と対立したりすることもあったが、私は当時は仲間をまとめる立場にあったので、お互いの話を聞いたものだ。
あることを境にデンちゃんと仲間内の活動とは、別に友達のような関係で合うことが多くなる。
と、いうかデンちゃんが凄く私を気に入ってくれた。
おそらく私が作った作品の一部が凄くデンちゃんの琴線に触れたからだと思う。
デンちゃんは仲間内ではクールで大人びていたけど、私の前ではやたらと無邪気だった。
彼にはお姉さんがいて、お姉さんと二人暮らしをしていて、デンちゃんが招いてくれて三人で夕飯を食べたりしたこともあった。
当時の私は定職にも就かずに、夢を見ていた為に経済的にも時間的の二つの面は、お世辞にもよろしいとは言えなかった。
デンちゃんもデンちゃんのお姉さんもアパレルの会社に就職をしていて、普通に一般社会人の側面もあったわけ。
『うーん・・・なんで俺みたいなヤツをこんなに気に入ってくれるんだろう・・・?』
そう思っていたことさえある。
だけど、特にデンちゃんが暇があれば私と会いたがった。
会ったからと言って、例えば何かを要求してくるわけではない。
とにかく話をしたかったんだと思う。
話をするにしても、決して一方通行ではなく、こちらが話すこともしっかり聞いてくれた。
ある程度、信頼関係が芽生えた時に、こんなことを言われるようになる。
デンちゃん『音楽が無くなってもさ、ケイちゃん(私のこと)とは友達でいれるかな?』
共通の物事とは音楽である。
あくまでデンちゃんや他の仲間との活動は音楽がありきで進んでいる関係だ。
だけど、この頃には私もデンちゃんの優しさや穏やかな性格、その人懐っこさ(あくまで私とお姉さんにだけだが・・・)に心地よさを覚えていた。
私『俺さ・・・親友って呼べるヤツ、もう、いないんだよね。』
デンちゃん『親友?』
私はこの時に伸ちゃんのことを打ち明けた。
略奪婚のようなことをしたことによって、不幸の道を進んでしまったかのような伸ちゃんを傷つけるようなことを言ったことで、私は縁が切れたと思っていたからだ。
実際に伸ちゃんからは連絡はなかったし、私からもすることはなかったが。
デンちゃん『俺、よくそういうの分からないけど、こんなに自分のこととか話したいと思ったのは、姉貴とケイちゃんだけなんだよね。』
私『嬉しいよ。男同士でこんなこと言うの気持ちわりぃかも知れんが、おまえといると落ち着くわ。』
伸ちゃんとの時の様に、親友の契りみたいなことはしなかったものの、お互いに口には出さなかったが、デンちゃんとも何か親友という関係になったと感じた。
それからというもの、音楽活動をそっちのけでデンちゃんと二人で遊ぶことが非常に多くなった。
と、いうか正直に言うと、デンちゃんが頻繁に私を誘うようになっていた。
だけど、私も悪い気分はしなかったし、バイトが終わったり休みの日は積極的にデンちゃんと会うようになっていた。
凄まじい過去を背負っている男
色んな話をした。
私の親のことや兄弟のこと。
実は大きな影響を受けた父や兄たちを私は絶対に認めていないこととか。
おばあちゃんっ子で、私の中の生き神様であるキヨちゃんのことも聞いてもらった。
話し上手で聞き上手という頭の良いデンちゃんであったが、ある日、衝撃的な告白を受けることになる。
その日はデンちゃんのお姉さんが会社の社員旅行(確かそうだったと思う)で帰ってこないという。
なので、泊まりにこないかと誘われたので、私はデンちゃんのおうちにお邪魔することにした。
埼玉県某所の綺麗な2DKのマンション。
綺麗なお姉さんと、中性的で色で言えば何をどういっても『白』が合うデンちゃんとで住んでいるマンション。
泊まったその夜、デンちゃんはこんなことを神妙な顔で私に告げてきた。
デンちゃん『どうしても聞いて欲しいことがあってね。 それを知ってもらった上でケイちゃんと親友という立場でいたいんだ。』
私『何よ?急に改まっちゃってさ。 言い辛いことでも、聞いて欲しいことあるなら聞くよ?』
この時って20代前半で、自分に根拠のない自信があるアホだった私。
何を聞かされても驚かない自信はあったんだが・・・この2時間後に私は聞いてしまって後悔に近い感覚を得ることになる。
デンちゃんの過去を具体的に言うのははばかれる。
いずれはもしかしたら書くこともあるかも知れないが、ここでは触れない。
ただ聞かされたことは、デンちゃんはお姉さんと供に家出をしてきた過去があること。
家出しなければならなかった理由は、彼らの父親が常軌を逸した鬼畜でクサレ外道だったからである。
そんな忌まわしい過去を私に告白して、泣き出すデンちゃん。
『おまえ・・・なんで、そんなこと俺に言うんだよ・・・』
と、心の中で呟いていたが、それだけではなかった。
更に衝撃的なことを聞かされるわけだが、それに関しては薄々は勘づいてはいた。
デンちゃん『俺、気持ち悪いよね?』
私『そんなことはない! 確かにクソみたいな過去だったかも知れんが、今が幸せならいいじゃないか。 それで俺がおまえを気持ち悪いと思うことなんかない!』
そんな様なことを言った覚えがある。
正直、デンちゃんを汚いとか気持ち悪いとは全く思わなかった。
衝撃的な告白を受けたわけだが、辛い過去を乗り越えてお姉さんと手を取り合って必死に生きているデンちゃんを誰が否定できるというのだ?
そして、俺ならデンちゃんを救ってやれるとも、どこかで思ってしまっていた蒼い当時の私。
そんな衝撃的な過去の忌まわしい告白を聞いた私。
夜、丁度、外を見ると月が煌々と照っていて、凄く綺麗だった。
私もデンちゃんも酒は飲まないのだが、その日はいいかとばかりに、二人でコンビニにいって酒をかって月見をした記憶がある。
しかし、人って分からないって改めて思った。
何も知らない人をデンちゃんが見たら、そんな壮絶な過去を背負って心を病んでいる状態であると誰も気づきはしないだろう。
そして、デンちゃんも他人には絶対にそういう自分を見せない武装をしていたわけだし。
確かにこの当時、デンちゃんは私の親友と呼べる大事な男ではあったのは認めるのだが・・・。
親友と距離を置く理由は単純なこと
実はこの思い出というのは、私の人生で最大のトラウマであったりします。
この時期のことは、非常に良い思い出でもあるのだけど、最後が酷いのでトラウマなんですね。
大事な親友であるデンちゃんと結局、距離を置く理由が出来た。
それは極度に依存されたから。
デンちゃんは実は病んでいる男であり、私という存在がいない時期はお姉さんが彼のメンタルケアをしていたといってもいい。
お姉さんからは私は時折、会った時にはこんなことを言われていた。
デン姉『ケイちゃん、本当にありがとう。 デンは私といる時もケイちゃんの話しかしていないのよ。 ずっと友達でいてね。』
素直に嬉しい反面、心のどこかでは正直いって、『これは、ヤベェのかも・・・』とは思っていた。
しかし、デンちゃんは依存してきているとはいえ、私に何か実害をもたらすようなことは一度もしたことがない。
それに私自身、デンちゃんの人柄には、そういった依存度会いを差っ引いても好感を維持出来ていた。
私にできることがあるなら、全部、やってあげたいとさえ思っていたのだ。
しかし、さすがに生活に支障が出てきていた。
深夜、デンちゃんが耐え切れずに私に電話をかけてきたりして、私がバイクを飛ばしてマンションにいくこととかもあった。
次の日は仕事なのに。
丁度、その頃、音楽活動も平行線を迎えていてね。
デンちゃんとは会うことが多いにしても、音楽そのもの・・・バンド活動は他のトラブルなどが原因で活動もままならない状態になっていた。
その為に私はお金の為にバイトに精を出したりするようになる。
そのバイト先でやたらと頼られるような状態になり、居心地も良かった。
居心地も良く、頼られる状態で、悪くないバイト代が安定して手に入るならば、楽しくなる。
親友はデンちゃんだけだが、別のことにも意識を向けたくなっていた私。
それに付随して私にはあまり負担にならない恋人もいたしね。
私はバイトだけど、恋人も働いているし、収入的には以前から恋人と話していた同棲するという目的が叶えられるかも知れない。
そんなことを考えていた時期でもある。
とにかく、蒼くてアホな時期の20代前半の私の頭の中は、この時はグルグル回ってる状態であった。
デンちゃんからのメールの返信にも素っ気なく対応するようになっていたし、会って遊ぶ時間も徐々に減っていった。
まあ、自分の責任なんですけどね・・・。
そして、秋のある日・・・もう肌寒くなりだしたときかな・・・。
決定的なことが起きる。
デンちゃんが深夜、暴走してお姉さんに暴力を奮ってしまったのだ。
泣きながら私に電話をかけてきて、お姉ちゃんを殺してしまったかも知れないと電話越しで喚くデンちゃん。
それはある理由からなんだが、とにかく私は次の日、仕事だけど、バイクを飛ばして駆け付けた。
マンションに駆け付けると、デンちゃんが住む部屋の隣の部屋のドアが恐る恐る開いていた。
老夫婦とおぼしき人が怪訝な状態で様子をうかがっていたのだ。
私は老夫婦の冷ややかな視線を浴びながらも、デンちゃんとお姉さんのいる玄関のドアを乱暴に叩く。
ドアがそっと開いた向こうにはデンちゃんが泣きベソを書きながら立っていた。
私は中に入り込みキッチンを通った時に、倒れているお姉さんをみて戦慄が走った。
幸い死んではおらずに気絶しているだけだったが、私は腹の底から熱い衝動が湧き上がってきた。
思わずデンちゃんを殴ってしまう私。
デンちゃんは泣き崩れて、自分を責めることを喚きながら床に頭をこすりつけている。
私はお姉さんを抱きかかえて、軽く頬を叩いて呼びかける。
お姉さんは目を覚まして、すぐさま自分の引きちぎられた服を自らの手で覆い、苦笑いを浮かべていった。
デン姉『恥ずかしいところ見られちゃったねぇ・・・。』
私『大丈夫ですか?』
デン姉『大丈夫・・・私が悪いからね。』
わけわからなくなってる状態の私たちの耳に次に飛び込んできたのは、玄関のドアを叩く音であった。
玄関の向こうには二人の警察官が立っていた。
通報されたのだ。
結局、私たち三人はそのまま警察まで行く羽目になり、朝まで事情聴取されることになる。
幸いデンちゃんが錯乱したことが分かってもらえたわけだが、当然、私は寝ないで次の日はバイト。
数日後、デンちゃんから申し訳なさそうに電話がくる。
私はデンちゃんにきつい言葉を浴びせることはなかったが、正直、心の中ではこう思っていた。
『もう・・・勘弁してくれ・・・。』
それから、デンちゃんからのメールとかが時折、来ていたが、返したり返さなかったり。
ある時
デンちゃんのメール [またケイちゃん、良ければウチに来て三人で鍋やらない?]
私の返信メール [そんなことがあるといいね、いずれ。]
そういう書き方をしてしまった私。
その後、デンちゃんからの連絡は来ることは無くなった。
親友と距離を置いた後の結末
あくまで私の過去の思い出話。
デンちゃんからの連絡が無くなってから、一か月ちょっと経った後。
音楽仲間からデンちゃんが亡くなったことを聞かされた。
この後も色々と一悶着があったのだが、それはここでは書く必要がないと思うので割愛。
つくづく私は自分がアホで無知だと思ったし、あらゆることを後悔した。
実際にこの時期の話というのは、もっと奥が深くって他のエピソードもあったりするんだけどね。
それらも相まって、最大級のトラウマなのだけど、とりあえず記事の本題である親友と距離を置いた理由の答えはね・・・。
ダメになるって思ったからですよ。
私自身も、親友本人もね。
もちろん私も自分が可愛いし、自分のやりたいことやりたいし、仕事しないといけないから。
でも、今ならハッキリわかる。
一日24時間しかないのに、音楽やって、まとまった金が稼げるバイトして、病んでいる親友のケアもして、恋人ともあって、自分も楽しくなりたいとか、そんな器どこにあるんだよ?!バカって思っている。
本当に自分自身がアホであったと後悔している。
だけど、そんなトラウマと形容しているこの時期のことをたまに思い出す。
正直、思う。
あー、またアイツに会えたらいいなってね。
会えないから、良い思い出としても残っているんだろうけどね。
と、まあ、非常に長くなったんだけど、私の経験上においての親友と距離を置く理由というのを、思い出話を交えてシェアさせてもらおう。
長くなったし、読みづらかったと思うけど、ここまで最後まで読んでくれてありがとうございます。